◆*.昔の銅銭に穴が開いているのはなぜ?.*◆
2018年10月15日

◆*.昔の銅銭に穴が開いているのはなぜ?.*◆

今回は、コインの面白い豆知識をご紹介していきます。

寛永通寶や和同開珎のような昔の古い銅銭は穴が開いていますよね。

「なぜ穴が開いているんだろう?」

と不思議に思ったことはありませんか?
現在の貨幣でも50円玉と5円玉は穴が開けられていますよね。
実はそれぞれに硬貨を便利に使用する工夫が考えられていたのです。
どのような理由で穴が開けられているのか、まとめてみました。

◇昔の銅銭(穴銭)てどんなもの?◇
はるか昔、大陸を統一した秦の始皇帝は、使いやすい丸い貨幣を作ることにしました。

これは【半両銭】といいます。
この丸型に四角い穴の形はその後の中国・日本での硬貨の基礎となりました。

そして唐の時代(西暦618年~)に【開元通宝】という銅銭が発行され、
日本へも大量に入ってくるようになります。


日本ではこの開元通宝をもとに、【和同開珎】が作られました。


このように、我が国では初めに作った銅銭から穴が開いたタイプだったのです。

以降、室町時代など銅銭が製造されない時代がありましたが、江戸時代になり再び銅銭が作られ、
有名な【寛永通宝】などが登場します。

結局、庶民が使う銅銭は明治時代になるまで全て穴が開いていたことになります。

◇昔の銅銭に穴が開いていた理由◇

*大陸の銅銭が穴開きだったため*
日本は大陸から入った銅銭が穴開きタイプだったため、そのまま利用されたという背景があります。
初めに入ってきた貨幣が穴開きだったということは大きな理由になります。

*製造時の研磨処理*
ただ意味のない穴であれば変更されたかもしれませんが、実は製造時にメリットがあったため、
穴開きタイプの貨幣が継続されたのだと思います。
古来から貨幣は金属(銅)を溶かして型に流し込んで作られていました。
現代でも鉄のフライパンなどは溶けた鉄を型に流し込む作り方をしますが、
それと同じ方法になります。
銅銭も鋳物ということになります。
当時の技術ではこの製造方法だと周囲に銅がはみ出てしまってそれが固まり、ギザギザになってしまいます。
しかし貨幣に四角い棒を挿して固定しておくことで、周囲にはみ出たバリを処理する研磨作業がしやすくなるのです。
昔の人も、四角い穴が開いていれば作るのが楽になると実感したのではないでしょうか。

*紐通しの穴*
大陸では秦の始皇帝が半両銭を作る以前から、穴開きの貨幣が多く使われていました。

秦以前の貨幣は農具の「すき」や「くわ」、刀の形をした青銅貨が使われていましたが、
その多くは穴が開いています。


どうやら貨幣に穴を開けて、紐通しで持っていたと考えられています。
これはとても実用性で何枚も持つのに便利なアイデアです。

日本でも江戸時代には紐に1000枚の銅銭を通した束を、【1貫文】と呼んでいました。

もし穴のない銅銭であれば、これだけ多くの枚数を持ち運んだり扱うのは難しかったでしょう。

*円形方孔説*
もう一つの理由として、【円形方孔】というのがあります。

古来中国では【丸の形は天を表し、四角は地を表す】と考えられていたそうです。
そして丸と四角の組み合わせは万物の根源であり、縁起が良いとされていました。

穴開き貨幣は丸い銅銭の半両銭が登場する以前から存在していたのでこの説が全てではないと思いますが、
中国では好意的に受け取られるデザインだったようです。

*西洋のコインは穴が無い*
余談ですが、西洋の硬貨には穴がありません。
西洋では中国のような金属を溶かす鋳造法ではなく、金属をハンマーで叩いて伸ばす製造方法でした。
そのため1枚1枚に穴を開けることが手間がかかるのです。
西洋では貨幣の製造方法の違いから、穴銭は登場しませんでした。

◇現代5円玉・50円玉の穴開き理由は?◇

古代や江戸時代においては、銅銭に穴が開いていると研磨処理がしやすいとか、
紐通しでまとめることができるというメリットがありました。

しかし現代では高精度なプレス機を用いて硬貨を製造していて、バリが出ることなどなく綺麗に製造できます。
また、紐通しにして大量の10円玉などを持つこともありませんよね。
これまでのメリットは全く意味がなくなっています。

ではなぜ5円玉・50円玉には穴が開けられているのでしょうか?

◆目の不自由な人でも区別しやすく、他の額面硬貨との違いを強調するため
◆偽造防止のため。様々な形の硬貨を作ることで偽造しにくくなる。

確かに、色な大きさだけでなく、穴が開いていればすぐに50円玉だな、
と把握できるメリットがあると思います。

このような利便性を考えて現代の穴開き硬貨は作られているのです。

古代の穴開き銅銭も、現代の5円玉・50円玉も、
それぞれの理由は違いますが利便性を考えての工夫だったのですね。