◆*.『金』と『プラチナ』資産価値が高いのはどっち??.*◆
2018年09月27日

◆*.『金』と『プラチナ』資産価値が高いのはどっち??.*◆

1981年からのおよそ37年間(440ヶ月)の月平均価格を振り返ってみると、8割近い頻度(345ヶ月)でプラチナの方が高く、それが最も顕著だったのはプラチナ価格が金の2.33倍になったITバブルの最終局面、2000年1月ですが、プラチナが高かった月を全て平均しても金の1.4倍と大きな価格差がありました。
ところが2015年1月から現在に至るまでは常に金の方が高く、上述のプラチナが1.4倍であったのと比べほぼ真逆となりました。

その理由のヒントを探るために、まず金とプラチナの基本的な指標を見てみましょう。それぞれの年間産出量は調査機関や年によって多少異なるが、ざっと金が約3000トン、プラチナが約200トンです。したがって当然ながら世界に既に出回っている量、すなわち累計産出量もそれぞれ約16万トン、5000トン強と大きな差があります。

その産出国は、金が世界の産出量シェア約15%の中国を筆頭に、オーストラリア、ロシアなど数多いのに対し、プラチナは南アフリカが7割強と大半を占め、次いでロシアが1割強の寡占状態になっています。このように、プラチナは金に比べ産出量で1/15、累計産出量に至っては1/32と圧倒的に少ないにも拘わらず、なぜこれほど割安なのでしょう?

ー 価格変動が大きい!プラチナの相場の動き ー
プラチナの相場は、ゴールドの相場よりも価格変動が大きい特徴があります。
その理由としては、以下のような点があげられます。

◇南アフリカやロシアの経済状況◇ 
プラチナは、南アフリカとロシアという政情不安がある2カ国が産出量全体の約80~90%を占めているため、政情によって価格変動が激しくなります。また、安定して生産できる設備が整っているとは言えませんので、産出量のばらつきがある点も価格に影響を及ぼします。

◇プラチナ消費国の景気動向◇
プラチナ消費国の景気による需要や小売価格の変化は、プラチナ全体の相場に大きく関わると言えます。

ー 価格が上がる理由!希少価値のあるプラチナ相場 ー
次に、プラチナの価値が高い理由と、相場が上がる理由についてご紹介します。

◇原石に対する割合がわずか◇
プラチナは、1tの鉱石に対して3gほどしか採掘できない希少性からおのずとその価値が高まる傾向にあります。

◇限定される生産国と独占会社の動向◇
上記した通り、プラチナは限られた地域でしか産出されず、採掘できる量が非常に少ないと言えます。
その中でも、南アフリカのアングロ・プラチナ社は世界最大手と言われており、この会社のコントロールによって、プラチナの価値が上下すると考えられています。

◇需要高による価格上昇◇
多くの人がプラチナ製品を購入すると、市場に流通するプラチナが不足し、プラチナの価値が上昇します。

◇宝飾品以外の需要◇
工業用としての需要も高まっていることから、プラチナの相場は上昇傾向にあります。

ー プラチナの価格がゴールドよりも低くなる理由 ー
通常プラチナはゴールドよりも高価ですが、ゴールドよりも安価になることがあります。
その理由についてご紹介します。

◇中国の宝飾としての需要の不調◇
中国が利用するプラチナの割合は、宝飾需要全体の約70~80%を占めていると言われています。
そのため、中国での需要が不調になると、プラチナの価格が下がります。

◇南アフリカの鉱山会社のストライキによる弊害◇
ストライキが行われると、プラチナの産出量が減少するため、相場に大きな変動があります。

◇自動車生産会社の動向◇
自動車会社がプラチナを購入しなくなると、プラチナの需要が下がり
連動するように価値も下がる傾向にあります。

◇宝飾品以外の需要◇
新興国の景気が悪化し、プラチナが部品として使用される自動車やパソコン、宝飾品などの売れ行きが下がるとプラチナの価格も下がる傾向にあります。
プラチナの相場はさまざまな理由から変動が起こり、1日でかなり激しく値動きする場合もあります。

ー 安全性が高いのは? ー

金とプラチナ、どちらも宝飾品に使われますが、金の宝飾品への利用率は48%程度、プラチナは35%程度です。
また大きな違いは、金の工業用利用は7.5%程度ですが、プラチナは60%程度のとなっています。
ですので、プラチナの価格は世界経済の景気にも影響を受けます。プラチナを必要とする製品の生産量が高まれば需要も増えることになります。
プラチナの工業需要の約半分は自動車の排ガス触媒用。いま、自動車業界がEVへ急速に傾こうとしている中、プラチナの今後の需要はどうなるのか気になるところです。
また、プラチナは産出国の状況に影響を受けます。
生産国が南アフリカとロシアの2国で世界全体の9割近くに達し偏っています。
一方、金の最大産出国は中国(約450トン)ですが、100トン以上算出している国が9か国あり、プラチナに比べると偏りは少なくなっています。

金とプラチナの価格が逆転しているのは金のほうが投資対象として魅力的と考えられるからだと考えます。
プラチナの需要の60%を占める工業需要がどうなるか、産出国の地勢的リスクなどを考えるとプラチナのほうが金よりもリスクは高そうに感じます。
そもそも、貴金属での資産形成は安定性が魅力。
実需だけではなく、投資対象として位置づけて金とプラチナを比較した場合、金の価格の方が安定的でリスクが小さいと考えられます。
歴史的に見た場合、プラチナの価格の方が高いことが多いのですが、現在の逆転している状況は一時的なものではないと私は思います。
投資対象として金とプラチナのどちらかを選ぶなら私は「金」を選びます。
これまでに資産として蓄えられ、認められてきた歴史。
今後供給量が減ると見込まれること。そして、何より黄金色の輝きはプラチナに比べ美しいと個人的に感じるからです。